【小児歯科医監修】早食い・丸呑みする子どもへの対応|噛む力を育てる家庭での工夫と歯科のサポート|みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック|御影

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【小児歯科医監修】早食い・丸呑みする子どもへの対応|噛む力を育てる家庭での工夫と歯科のサポート|みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック|御影

2026年08月10日

執筆・監修:河崎 真也(みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック 院長/日本歯科放射線学会 認定医・日本小児歯科学会 所属)

最終更新日:2026年8月10日 / 初回公開:2026年8月10日

食事の時間が短く、よく噛まずに飲み込んでしまうお子さまについて、背景として考えられることと、ご家庭でできる具体的な工夫、歯科でのサポートを、神戸市東灘区御影の小児歯科の視点でまとめました。

「ごはんをあっという間に食べ終わってしまう」「ほとんど噛まずに飲み込んでいるように見える」――東灘区/御影の当院でも、こうしたご相談をよくいただきます。食卓で「よく噛んでね」と声をかけ続けているのに変わらない、と疲れてしまわれている保護者の方も少なくありません。

早食いや丸呑みは、お子さまの性格や食べ方の癖だけで決まるものではないと考えられています。この記事では、なぜそうなるのかという背景、ご家庭でできる段階的な工夫、そして歯科でのサポートを順に整理します。噛む・飲み込むといったお口のはたらきを育てる「お口育て」の視点からもお伝えしていきます。

目次

  1. なぜ早食い・丸呑みになるのでしょうか
  2. 一口の量とかたさが合っていないとき
  3. 飲み物で流し込む癖がついているとき
  4. 歯の生え方・噛み合わせが関わることもあります
  5. 食事の環境と姿勢を見直してみる
  6. ご家庭でできる工夫|噛む力は段階的に
  7. 「お口育て」の視点から見た噛む・飲み込む
  8. 歯科でできるサポート|噛み方・飲み込み方の確認

なぜ早食い・丸呑みになるのでしょうか

早食いや丸呑みの背景は、ひとつに限られないと考えられています。食べ物のかたさや大きさがそのお子さまの今の噛む力と合っていないこと、一口に入れる量が多いこと、飲み物で流し込む習慣、歯の生え方や噛み合わせの状態、お口まわりの筋肉の使い方、食事の時間や環境、そして座ったときの姿勢――こうした要素がいくつも重なっていることが多いとされています。

「よく噛んでね」という声かけだけでは変わりにくいのは、噛むという動作が思っているより複雑だからです。唇を閉じる、舌で食べ物を奥歯へ運ぶ、奥歯で押しつぶしてすりつぶす、唾液と混ぜてまとめる、そして飲み込む――この一連の流れがつながって初めて「よく噛んで食べる」が成り立つと考えられています。どこかの動きがまだ育ちきっていないと、飲み込みやすい形になる前に先へ進んでしまうことがあります。

ですから出発点は、叱ることではなく「どこでつまずいているのかを見つけること」だと考えています。よく噛むことが顎の育ちや歯並びにどう関わるのかという原理そのものについては、別記事「子どもの顎(あご)の発達|よく噛むことの大切さと歯並びへの影響」で解説しています。この記事では、目の前の困りごとにどう手を打つかに絞ってお話しします。

一口の量とかたさが合っていないとき

よく見られるのが、一口に入れる量が多いというパターンです。口の中がいっぱいになると、舌で食べ物を動かす余裕がなくなり、奥歯へ運んですりつぶす動きがしにくくなると考えられています。結果として、噛みきれていないものを押し込むように飲み込む形になりやすくなります。お腹が空いているときや、次に食べたいものが待っているときにも起こりやすい様子です。

食べ物のかたさも関わります。やわらかく調理されたものばかりだと、そもそも噛む必要が少なく、噛まずに飲み込めてしまいます。反対に、今の噛む力に対してかたすぎるものは、噛みきれないまま丸呑みにつながることがあるとされています。目安としては「そのお子さまが噛めば処理できるけれど、少し手応えがある」あたりがちょうどよいと考えられています。

ここで大切なのは、噛む力を育てようとして急にかたいものを増やすのは、かえって逆効果になりうるという点です。噛みきれない経験が続くと、食べること自体を負担に感じてしまうこともあります。かたさや大きさは、お子さまの様子を見ながら少しずつ段階的に上げていくのが基本と考えられています。

飲み物で流し込む癖がついているとき

食事のあいだにお茶や水をたくさん飲むお子さまでは、噛みきれていないものを飲み物と一緒に流し込めてしまうことがあります。飲み込みやすくなるぶん、噛む回数は自然と減っていくと考えられています。コップが手の届くところに常に置かれている食卓では、この流れが習慣として定着しやすい傾向があります。

工夫としては、飲み物を食事の前後や、食べ進んでひと区切りついたタイミングに分けて出すという方法があります。食卓に出しっぱなしにせず、大人が渡す形にするだけでも回数は変わってきます。ただし、水分がないとむせやすい、お口が乾きやすいといった様子があるお子さまでは、飲み物が助けになっている場合もあります。一律に減らすのではなく、様子を見ながら調整していただくのがよいと考えています。

なお、飲み込む力や飲み方そのものについては、コップ飲みの育ちという別の切り口があります。ストローとコップの使い分けや、飲み込む動きの育て方は「ストロー飲みは急がなくて大丈夫|コップ飲みで「お口育て」」でくわしくご紹介していますので、あわせてご覧ください。

歯の生え方・噛み合わせが関わることもあります

噛むという動きは歯を使って行うものですから、歯の状態が影響することもあります。奥歯がまだ生えそろっていない時期、生えかわりの時期で歯がぐらぐらしている時期、抜けたあとの隙間があってすりつぶしにくい時期などは、うまく噛めないまま飲み込みやすくなると考えられています。左右のどちらか片側だけで噛んでいる場合も同様です。

前歯の噛み合わせも関わります。前歯でうまく噛みとれないと、大きなかたまりのまま口に入ることになり、奥歯での処理が追いつきにくくなることがあるとされています。また、食事中にお口が開いたままになりやすいお子さまでは、唇を閉じて噛む動きが取りにくい場合もあります。お口が開いたままになりやすい背景については「お口ぽかんと口呼吸|子どもの「お口が開いている」が気になるとき」で扱っています。

もうひとつ見落としたくないのが、痛みや違和感があって噛むのを避けている場合です。むし歯や歯ぐきの炎症、生えかけの歯のあたりの不快感があると、そこを使わないようにして急いで飲み込むことがあります。「最近急に食べ方が変わった」というときは、一度歯科でお口の中を確認していただくと原因が絞りやすくなります。

食事の環境と姿勢を見直してみる

食事の環境も、食べる速さに関わると考えられています。登園・登校前や習い事の前など、時間に追われている食事では、大人もお子さまも急ぐことになります。テレビや動画がついている、きょうだいと競うように食べている、といった場面でも、噛むことに意識が向きにくくなります。これはご家庭の落ち度ではなく、忙しい日常でどうしても起こることです。少し余裕のある食事の回を意識的につくる、というくらいの考え方でよいと思います。

姿勢も見ていただきたいポイントです。椅子に座ったときに足が床や足台に届いていないと、体が不安定になり、噛むときに力を入れにくくなると考えられています。足がぶらぶらしている状態では、体を支えることに力が使われてしまうという見方もあります。足がしっかりつく高さの椅子や足台を用意し、テーブルとの高さのバランスを整えるだけでも、食べ方が落ち着いてくるお子さまがいます。

そして、いちばん効きやすいのは「一緒に食べる」ことだと考えています。家族が同じテーブルでゆっくり噛んで食べている様子は、言葉での注意よりも伝わりやすいものです。大人が口を閉じてよく噛む姿を見せる、「これは噛みごたえがあるね」と食べ物の感じを言葉にしてみる。そうしたやりとりの積み重ねが、噛むことへの関心につながっていくとされています。

ご家庭でできる工夫|噛む力は段階的に

まず取り組みやすいのが、一口の量を減らす工夫です。スプーンを小さめのものに替える、お皿に少しずつ盛る、ひと口ずつ手渡すといった方法があります。また、細かく切りすぎず、あえて大きめに切って前歯で噛みとってもらうことで、噛みとる・奥歯へ運ぶという動きの練習になると考えられています。すべてを一口大にそろえてしまうと、この機会が減ってしまいます。

噛みごたえのある食材は、段階を踏んで取り入れていきます。加熱時間を少し短くして歯ごたえを残す、根菜やきのこを少し大きめに切る、繊維の向きを変えて切ってみる、といった小さな調整から始めるとよいと考えられています。いきなり献立全体を変えるのではなく、一品だけ噛みごたえのあるものを添えるところからでも十分です。うまく噛めた場面があれば、そこを言葉にして伝えてあげてください。

おやつの時間も、噛む練習の機会になります。やわらかくて口の中で溶けるようなものが続くと噛む場面が減りますが、噛みごたえのあるものを選ぶことで、無理なく回数を増やせると考えられています。おやつの選び方や出し方については「子どものおやつの選び方|むし歯になりにくい選び方とタイミング」でご紹介していますので、参考にしていただければと思います。

「お口育て」の視点から見た噛む・飲み込む

当院では「お口育て」という考え方を大切にしています。噛む・飲み込む・話すといったお口のはたらきを、乳幼児期から成長にあわせて育てていくという視点です。歯を守ることと同じくらい、お口が上手にはたらくようになることに意味があると考えています。考え方の全体像は「「お口育て」とは?|乳幼児期から育てる噛む・飲み込む・話す力」でまとめています。

この視点で見ると、早食いや丸呑みは「直すべき悪い癖」ではなく、「お口のはたらきがまだ育っている途中のサイン」として受け取ることができます。よく噛むことは、唾液がしっかり出ること、味を感じること、食べたという満足感を得ることにもつながると考えられています。お口を閉じて噛むことができるようになると、こうしたはたらきが活きやすくなるとされています。

ご家庭で意識していただきたいのは、「できていないところを直す」より「うまく使えている場面を増やす」という向き合い方です。早食いや丸呑みは、保護者の方の関わり方が原因で起きるものではありません。うまく噛めた日、ゆっくり食べられた食事があれば、それを一緒に喜ぶ。そうした積み重ねのほうが、長い目で見て変化につながりやすいと考えています。

歯科でできるサポート|噛み方・飲み込み方の確認

歯科では、お口の中を見るだけでなく、噛み方や飲み込み方そのものを確認していきます。奥歯が生えそろっているか、噛み合わせはどうか、左右のどちらかに偏っていないか、唇を閉じて噛めているか、舌がどう動いているか。そうした点を実際に見ていくことで、そのお子さまがどこでつまずいているのかが見えやすくなると考えています。

お口まわりの筋肉の使い方を育てていく関わりとしては、口腔筋機能療法(MFT)と呼ばれる考え方もあります。その内容については「MFT(口腔筋機能療法)とは?|お口まわりの筋肉のトレーニング」でご紹介しています。ただし、こうしたトレーニングはどのお子さまにも同じように当てはまるものではなく、状態に応じて役立つと考えられているものです。まずは今の様子を確認したうえで、そのお子さまに合った工夫をご提案していきます。

そして、大切なのは経過を見ていくことです。食べ方は歯の生えかわりや成長にあわせて変わっていきますから、一度の確認で終わらせず、間隔を決めて様子を追っていきます。東灘区/御影の当院では、定期的な受診の中で、むし歯の確認とあわせてお口のはたらきの育ちも見ていくようにしています。食事のことは相談しづらいと感じられる方もいらっしゃいますが、小さなことでもおたずねください。

よくあるご質問

Q1. 早食いは成長すれば自然に落ち着きますか?

A. 歯が生えそろい、噛む力が育つにつれて落ち着いてくるお子さまもいらっしゃいます。一方で、一口の量や飲み物で流し込む習慣が定着していると、そのまま続くこともあると考えられています。成長を待つだけでなく、食卓での工夫を少しずつ試していただくとよいと思います。

Q2. 「よく噛んで」と声をかけても変わりません。どうすればよいですか?

A. 声かけだけでは変わりにくいことが多いとされています。一口の量を減らす、飲み物のタイミングを分ける、足がつく椅子にする、といった環境側の調整のほうが効きやすいと考えられています。回数を数えて言い聞かせるのではなく、よく噛むことを意識できる場面をつくる形をおすすめしています。

Q3. かたい物を食べさせれば噛む力は育ちますか?

A. 急にかたい物を増やすのは、かえって丸呑みや食べることへの負担につながる場合があります。今の噛む力で処理できて、少し手応えがあるくらいから、段階的に上げていくのがよいと考えられています。かたさよりも、噛みとる・すりつぶすという動きが起こる形かどうかを意識してみてください。

Q4. 丸呑みが続くと、体の面で気をつけることはありますか?

A. 大きなかたまりのまま飲み込む食べ方では、のどに詰まりやすい食材に注意が必要と考えられています。丸くてつるっとしたもの、粘りのあるものなどは、大きさを調整し、落ち着いて食べられる場面で出していただくと安心です。心配な様子が続くときは、かかりつけの小児科や歯科でご相談ください。

Q5. 何歳から歯科で相談できますか?

A. 食べ方のご相談は、年齢を問わずおうかがいしています。乳歯が生えそろう時期、生えかわりが始まる時期など、食べ方が変わりやすいタイミングでのご相談も多くあります。むし歯の確認やフッ素塗布のついでに、気になる様子をお話しいただく形でも構いません。

📌 早食い・丸呑みは、育ち途中のサインです

叱って直すものではなく、環境と食べ物の調整で変わっていくものと考えています。
そのお子さまがどこでつまずいているのかを一緒に見つけ、できる工夫からご案内します。

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参考文献・参考資料

  • 全国歯科衛生士教育協議会 監修『歯科衛生学シリーズ 小児歯科学』(医歯薬出版、2023年)
  • 一般社団法人 日本小児歯科学会
  • 日本歯科医学会「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」
  • 厚生労働省「e-ヘルスネット(歯・口の健康)」

執筆・監修:河崎 真也(かわさき まさや)

みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック 院長/医療法人茜会 理事長
専門:小児歯科/小児矯正/口腔機能育成
所属:日本歯科放射線学会 認定医、日本小児歯科学会

神戸市東灘区御影で、乳幼児期からのお口の健康とお口の機能(お口育て)の視点を大切に、お子さまの成長を見守る歯科医療を行っています。「明朗・愛和・喜働」を理念に、ご家族に寄り添った診療を心がけています。

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