【小児歯科医監修】中学生の歯列矯正と部活の両立|運動部・吹奏楽部で気をつけたいこと|みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック|御影

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【小児歯科医監修】中学生の歯列矯正と部活の両立|運動部・吹奏楽部で気をつけたいこと|みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック|御影

2026年08月11日

執筆・監修:河崎 真也(みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック 院長/日本歯科放射線学会 認定医・日本小児歯科学会 所属)

最終更新日:2026年8月11日 / 初回公開:2026年8月11日

中学生になってから歯並びの矯正を考えるとき、いちばんの心配ごとになりやすいのが部活との両立です。運動部・吹奏楽部それぞれで気をつけたいことと、通院の組み立て方を、神戸市東灘区御影の小児歯科・矯正歯科の視点でまとめました。

「中学生になって歯並びが気になりだしたけれど、部活があるので矯正は難しいでしょうか」「吹奏楽で金管楽器をやっています。装置をつけると吹けなくなると聞いて不安です」――東灘区/御影の当院でも、中学生のお子さまと保護者の方から、こうしたご相談をよくいただきます。小学生のころとちがって、本人の生活のなかに部活や塾がしっかり組み込まれている時期なので、治療のことだけを切り離して考えるわけにはいきません。

この記事では、中学生という時期のお口の特徴をふまえながら、運動部・吹奏楽部それぞれで気をつけたいこと、部活や塾と通院をどう組み立てていくか、そして装置がついている時期のお口のケアについて、小児歯科医の立場でお伝えします。あわせて、歯を並べることだけを目的にせず、噛む・飲み込むといったお口のはたらきを育てる「お口育て」の視点から、中学生の時期に大切にしたいことにも触れていきます。

目次

  1. 中学生という時期のお口の特徴
  2. 「もっと早く始めたほうがよかった?」と思ったとき
  3. 装置のタイプと部活へのかかわり方
  4. 運動部で気をつけたいこと
  5. 吹奏楽部で気をつけたいこと
  6. 部活・塾と通院を両立させる工夫
  7. 装置がついている時期のお口のケア|思春期の歯ぐき
  8. 本人が納得して取り組むために|お口育ての視点から

中学生という時期のお口の特徴

中学生の年代は、乳歯から永久歯への生えかわりがおおむね終わる時期にあたると考えられています。12歳ごろに生えてくる第二大臼歯までそろうと、歯並び全体の形がはっきり見えてくるため、どこにどれだけのスペースの不足があるのか、上下の噛み合わせがどうなっているのかを、あらためて全体として評価しやすくなるとされています。小学生のころは「これから生えかわるので変わるかもしれない」という前提がありましたが、中学生になるとその不確かさが小さくなっていきます。

一方で、顎の骨の成長はまだ続いている場合があるとされています。とくに下顎は身長の伸びと近い時期に成長が進むと考えられていて、成長の勢いが残っているかどうかは個人差が大きい部分です。ですから中学生の矯正は、「すべて生えそろった歯を並べる」という側面と、「まだ残っている成長を見ながら進める」という側面の両方をあわせて考えていくことになります。どちらの要素が強いかは、レントゲンや模型などをふまえて一人ひとり確認していきます。

そしてもうひとつ大きな特徴が、本人の意思で取り組めるようになることです。小さいお子さまの場合は保護者の方が装置の管理を担う場面が多いのですが、中学生になると、自分で装着時間を管理したり、自分で歯みがきの精度を上げたりできるようになっていきます。これは治療を進めるうえで大きな力になると考えられています。年齢と生えかわりから見た開始時期の考え方は、別記事「小児矯正はいつから?|年齢・生えかわりから考える開始時期」でくわしく整理しています。

「もっと早く始めたほうがよかった?」と思ったとき

中学生になってから矯正を考えはじめた保護者の方から、「もっと小さいうちに相談しておけばよかったのでしょうか」というお声をいただくことがあります。この気持ちはとても自然なものだと思います。ただ、私たちは、過ぎた時間を振り返って悔やむ必要はないとお伝えしています。歯並びが気になりはじめるきっかけは、本人が鏡を見て気づく、写真を見て気になる、部活の仲間との会話で意識するなど、その年齢になって初めて生まれることも多いからです。

当院では、成長を活かす早い時期からの関わりについては5歳ごろからご相談をお受けしています。早い時期には、顎の育ちやお口のはたらきに働きかけられる余地が大きいという利点があるとされています。とはいえ、それは「その時期を過ぎたら手立てがない」という意味ではありません。中学生の年代には、歯の位置を整えるという点でむしろ条件が整っている面もあり、本人が理解して主体的に取り組めるという強みも加わります。時期ごとに、できることの中身が変わっていくと考えていただくのがよいと思います。

なお、小児矯正には成長期に顎やお口のはたらきに働きかける段階と、生えそろった歯を整えていく段階があり、中学生はおおむね後者にあたる年代とされています。それぞれの段階で何をしていくのか、どんな装置が使われるのかという全体像は、別記事「子どもの歯列矯正の流れ|1期・2期治療と使われる装置の種類」でまとめていますので、あわせてご覧ください。この記事では、そのうえで「部活との両立」という具体的な悩みに絞ってお話ししていきます。

装置のタイプと部活へのかかわり方

部活との両立を考えるうえで、まず知っておいていただきたいのが、装置には大きく「固定式」と「取り外し式」があるという点です。固定式は歯の表面に装置をつけて、治療期間中はご自身で外さないタイプです。取り外し式は、マウスピース型の透明な素材の装置などのように、食事や歯みがきのときに自分で外して、それ以外の時間は装着しておくタイプです。この二つは、部活の場面での扱い方がかなり変わってきます。

固定式の場合は、外し忘れや紛失の心配がない一方で、装置の表面に汚れが残りやすくなり、口の中に当たって違和感が出ることがあるとされています。取り外し式の場合は、必要な場面で外せる自由度がありますが、決められた時間しっかり装着できているかが結果に関わってくると考えられています。部活で忙しく、外した装置をそのままケースに入れ忘れてしまう、というつまずきも起こりやすい部分です。どちらにも向き不向きがあり、一概にどちらがよいとは言えません。

ですから当院では、「どの装置がおすすめですか」というご質問に対して、はじめから一つの答えをお示しすることはしていません。歯並びと噛み合わせの状態、顎の成長がどれだけ残っているか、そして部活の種目や練習の頻度、通院できる時間帯といった生活面をあわせてうかがったうえで、ご相談のなかで決めていきます。見た目の目立ちにくさという観点での装置のちがいは、別記事「目立たない小児矯正|装置の種類と見た目の特徴」でくわしくご紹介しています。

運動部で気をつけたいこと

運動部に所属している場合、まず確認しておきたいのが、その競技に相手や道具との接触の可能性があるかどうかです。ボールや体が顔に当たる場面がある競技では、口元を守る配慮が必要になると考えられています。固定式の装置がついている状態で強い衝撃を受けると、唇や口の中の粘膜を傷つけることがあるとされているためです。競技用の口元の保護具を使うかどうか、使う場合はどういう形のものを選ぶかは、装置の状態とあわせてご相談のうえ決めていきます。

取り外し式の装置を使っている場合は、「練習や試合のあいだ、装置をどう扱うか」をあらかじめ決めておくことが大切です。外して練習に臨むのか、つけたまま行うのかは、競技の内容と装置の種類によって変わります。外す場合に気をつけたいのは紛失です。ティッシュに包んで置いておく、ポケットに入れておくといった扱いは、そのまま失くしてしまう原因になりやすいとされています。専用のケースを部活バッグに常備し、外したらすぐにケースへ入れる習慣をつくっておくと安心です。

練習後のケアも見落としがちな部分です。激しい運動のあとは疲れて帰宅し、そのまま眠ってしまうこともあると思います。ただ、運動中は口で呼吸することが増えて口の中が乾きやすくなり、汚れが残ったままになると歯ぐきや歯にとって負担がかかりやすい状態になると考えられています。スポーツドリンクを少しずつ長い時間かけて飲む習慣も、お口の中が酸性に傾いた状態が続きやすくなるとされています。飲んだあとに水を口に含む、練習後は短時間でも歯をみがく、といった小さな工夫を積み重ねていただくとよいでしょう。

吹奏楽部で気をつけたいこと

吹奏楽部の場合、心配されるのはやはり演奏への影響です。とくにトランペットやホルンなどのように楽器のマウスピースを唇に当てて音を出す金管楽器では、唇や前歯のあたりの感覚が演奏に関わってくるため、装置がつくことで口元の感覚が変わったように感じられることがあるとされています。木管楽器でもリードをくわえる位置の感覚が変わることがあり、フルートのように唇の形で息を当てる楽器でも同様の話が聞かれます。

ただ、これは「楽器が吹けなくなる」ということではありません。感覚の変化に慣れるまでにしばらく時間がかかる場合があると考えられていて、どのくらいで慣れていくかには個人差があります。慣れ方には、装置の種類や、口元のどのあたりに装置があるかも関わってくるとされています。取り外し式の装置であれば、演奏の場面と装着の時間をどう組み立てるかという選択肢も出てきます。大会やコンクールなど大事な予定がある場合は、その時期を見越して進め方を組めるよう、あらかじめ教えていただけると助かります。

実際に取り組むうえでおすすめしているのは、顧問の先生や指導者の方に、矯正を始めることを早めに共有しておくことです。吹奏楽の指導に長く関わっている方であれば、同じ経験をした生徒さんを見てこられていることも多く、練習の組み立てや音の出し方について助言をいただけることがあります。本人だけが抱え込んで「うまく吹けないのは自分のせいだ」と感じてしまうことを避けられる点でも、周囲に伝えておくことには意味があると考えています。

部活・塾と通院を両立させる工夫

中学生の矯正で現実的にいちばん難しいのは、装置そのものよりも通院時間の確保だという印象があります。平日は放課後に部活があり、そのあと塾に通っているというお子さまも少なくありません。土日も練習や試合が入ることがあります。ですから治療を始める前に、「どのくらいの間隔で、どのくらいの時間の来院が必要になりそうか」を確認しておくことをおすすめしています。見通しが立っていれば、部活のスケジュールと重ねて計画しやすくなります。

具体的な工夫としてよく挙がるのが、長期休みの活用です。春休み・夏休み・冬休みは部活の予定も平日と異なることが多く、検査や説明といった時間のかかる場面をこの時期にあてておくと、学期中の負担を抑えやすくなります。治療を始めるタイミング自体を長期休みに合わせるという考え方もあります。装置に慣れるまでの期間を、比較的余裕のある時期に置いておけるという利点があるためです。

治療にかかる期間については、歯並びの状態や成長の残り具合、装置の使い方によって大きく変わるため、「何年で終わります」と一律にお伝えすることはできません。個人差があるとお考えください。そのうえで、部活の引退時期や受験のスケジュールといった生活の節目をうかがいながら、どこにどの段階を置くのが無理がないかを一緒に組み立てていきます。予定が変わったときも、そのつど相談しながら調整していける進め方を大切にしています。

装置がついている時期のお口のケア|思春期の歯ぐき

装置がついていると、歯の表面や装置のまわりに汚れが残りやすくなると考えられています。歯ブラシの毛先が届きにくい場所が増えるためで、いつもと同じみがき方では足りなくなることが多いとされています。装置のまわりを小さく分けてみがく、毛先の細いものや小さめのブラシを併用する、鏡を見ながら残りやすいところを確認するといった工夫が役立ちます。当院では、装置を入れたあとに、その方の装置に合わせたみがき方をご案内しています。

加えて中学生の年代は、思春期にあたるためホルモンの変化の影響を受けて、歯ぐきが汚れに反応しやすくなる時期とも言われています。同じくらいの汚れでも歯ぐきが赤く腫れやすい、みがくと血がにじむ、といった様子が出やすくなるとされています。装置がつく時期とこの時期が重なることが多いため、歯ぐきの状態はとくに気をつけてみていきたい部分です。思春期のお口のケアについては、別記事「小学校高学年の歯|生えかわり完了期のケアと思春期の歯肉炎」でくわしくご紹介しています。

歯ぐきが腫れている状態が続くと、装置による歯の動きを確認しにくくなることもあると考えられています。歯ぐきの赤みや腫れ、出血が気になるときは、次の来院を待たずにご相談いただいて構いません。歯ぐきの腫れについての見方と受診の目安は、別記事「子どもの歯肉炎・歯ぐきの腫れ|見分け方と受診の目安」でまとめています。矯正中は通院の機会が定期的にありますので、そのたびに汚れの残り方と歯ぐきの状態を確認していけるという利点もあります。

本人が納得して取り組むために|お口育ての視点から

中学生の矯正で結果に大きく関わるのは、本人が納得して取り組めているかどうかだと考えています。取り外し式であれば装着時間、固定式であれば毎日のケアと、どちらにしても本人の手にかかる部分が残ります。保護者の方が心配して勧めた形で始まると、部活で疲れた日に「なんで自分がこれをやっているのか」という気持ちが出てきやすくなります。ですから当院では、中学生ご本人にも直接ご説明し、いまのお口の状態と、これから何をしていくのかを本人の言葉で理解していただくことを大切にしています。

そのうえで、私たちが歯並びを整えることだけを目的にしていない点もお伝えしています。当院は、歯を並べることに加えて、噛む・飲み込む・呼吸するといったお口のはたらきを育てていく「お口育て」の視点を大切にしています。しっかり噛んで食べているか、飲み込むときに舌がどう動いているか、日中お口が開いたままになっていないかといったところは、整えた歯並びをその後どう保っていけるかにも関わると考えられています。中学生の年代でも、これらは意識して育てていける部分です。

部活に打ち込んでいる時期は、体づくりや食事にも関心が向きやすいタイミングです。よく噛んで食べる、お口を閉じて鼻で呼吸する、といった話は、健康や運動のパフォーマンスとつながる話として本人にも届きやすいと感じています。東灘区/御影の当院では、こうしたお口のはたらきの話も含めて、中学生ご本人と保護者の方の両方にご相談いただける形をとっています。部活と両立できるかどうか迷っている段階でも、遠慮なくおたずねください。

よくあるご質問

Q1. 部活を続けながら矯正はできますか?

A. 部活を続けながら取り組んでいる中学生は少なくありません。ただし、競技の内容や練習の頻度によって気をつけたい点が変わってきます。接触の可能性がある競技では口元を守る配慮を考え、取り外し式の装置なら練習中の扱いをあらかじめ決めておきます。どんな部活で、どのくらいの頻度で活動しているかをうかがったうえで、無理のない進め方をご相談します。

Q2. 吹奏楽部です。装置をつけると楽器が吹けなくなりますか?

A. 吹けなくなるということではありません。マウスピースを唇に当てる金管楽器などでは口元の感覚が変わったように感じられることがあるとされていて、慣れるまでに時間がかかる場合があります。慣れ方には個人差があります。大会やコンクールの予定を早めに教えていただければ、その時期を見越して進め方を組みやすくなります。顧問の先生に共有しておくこともおすすめしています。

Q3. 中学生から始めるのは遅いのでしょうか?

A. 遅すぎるということはありません。当院では、成長を活かす早い時期からの関わりは5歳ごろからご相談をお受けしていますが、中学生の年代には歯が生えそろっていて全体を評価しやすいという利点や、本人が理解して主体的に取り組めるという強みがあります。時期によってできることの中身が変わると考えていただくのがよいと思います。

Q4. 部活と塾が忙しく、通院の時間がとれそうにありません。

A. まず、どのくらいの間隔で来院が必要になりそうかを事前にご確認ください。見通しが立てば、部活の予定と重ねて計画しやすくなります。検査や説明など時間のかかる場面を春休み・夏休み・冬休みにあてる、治療を始めるタイミング自体を長期休みに合わせるといった工夫もあります。ご家庭の事情をうかがいながら組み立てますので、ご相談ください。

Q5. 装置をつけると、むし歯や歯ぐきの炎症が心配です。

A. 装置のまわりは汚れが残りやすくなると考えられています。加えて中学生は思春期にあたり、歯ぐきが汚れに反応しやすい時期とも言われています。当院では装置に合わせたみがき方をご案内し、通院のたびに汚れの残り方と歯ぐきの状態を確認していきます。腫れや出血が気になるときは、次の来院を待たずにご相談いただいて構いません。

📌 部活をあきらめる前に、一度ご相談ください

部活の種目・練習の頻度・通える時間帯をうかがったうえで、進め方をご相談します。
お口の状態と生活の両方を見ながら、本人が続けられる形を一緒に考えていきます。

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参考文献・参考資料

  • 全国歯科衛生士教育協議会 監修『歯科衛生学シリーズ 小児歯科学』(医歯薬出版、2023年)
  • 一般社団法人 日本小児歯科学会
  • 公益社団法人 日本矯正歯科学会
  • 厚生労働省「e-ヘルスネット(歯・口の健康)」

執筆・監修:河崎 真也(かわさき まさや)

みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック 院長/医療法人茜会 理事長
専門:小児歯科/小児矯正/口腔機能育成
所属:日本歯科放射線学会 認定医、日本小児歯科学会

神戸市東灘区御影で、乳幼児期からのお口の健康とお口の機能(お口育て)の視点を大切に、お子さまの成長を見守る歯科医療を行っています。「明朗・愛和・喜働」を理念に、ご家族に寄り添った診療を心がけています。

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