【小児歯科医監修】ストロー飲みは急がなくて大丈夫|コップ飲みで「お口育て」|飲み込む力と舌の発達を育てるコツ|みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック|御影
2019年03月18日
執筆・監修:河崎 真也(みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック 院長/日本歯科放射線学会 認定医・日本小児歯科学会 所属)
最終更新日:2026年6月10日 / 初回公開:2018年
本記事は、赤ちゃんの飲み込む力と舌の発達を育てる「コップ飲み」について、ストロー飲みとの違いをふまえ、小児歯科の現場知見をもとに保護者の方向けにまとめた内容です。
「もうストローで飲めるようにしないと」「周りの子はストローマグを使っているのに、うちの子はまだ……」――赤ちゃんの卒乳・離乳が進むころ、ストロー飲みの練習を焦る保護者の方は少なくありません。
でも、結論からお伝えすると、口の発達という視点では、ストロー飲みを急ぐ必要はありません。むしろ大切にしたいのはコップ飲みです。コップ飲みは、これからの「食べる・飲み込む・話す」につながる口の機能、つまり当院が大切にしている「お口育て」を育てるうえで、とても良い練習になります。この記事では、その理由を小児歯科医の立場でわかりやすくお伝えします。
目次
1. なぜストロー飲みを急がなくていいの?
赤ちゃんは、お母さんのおっぱいやミルクを「吸う」ことから飲み物をとり始めます。やがて離乳が進むと、コップやストローへと飲み方が広がっていきます。このとき「ストローが先」と思われがちですが、口の発達という順番で見ると、コップ飲みのほうが自然なステップです。
ストロー飲みは大人にとって簡単な動作に見えますが、赤ちゃんにとっては必ずしもやさしい動きではありません。なぜなら、「吸う」動きと「飲み込む(コップ飲み)」の動きは、舌の使い方がまったく違うからです。次の章でくわしく見ていきましょう。
2. おっぱい・哺乳とストロー飲みの「舌の動き」の違い
赤ちゃんがおっぱいやミルクを飲むとき、舌は前後に波打つように動いて、乳首を押しつぶしながら飲み物を口の中に運びます。このとき舌は前のほうへ出る動きが中心です。
ストロー飲みも、ストローの先を吸ってくわえるため、この「吸う」動きに近いといえます。つまりストロー飲みは、哺乳のころからの舌の動きの延長線上にあるのです。
一方、コップ飲みでは、舌は後ろのほう(奥)へ送り込むように動いて、飲み物をのどへ運びます。これは大人と同じ「飲み込み(嚥下・えんげ)」の動きです。コップ飲みでは、吸う力ではなく、舌で飲み物をコントロールしてのどへ送る力が育ちます。だからこそ、口の発達にとってコップ飲みが大切なのです。
かんたんに言うと――
ストロー飲み=「吸う」動き(哺乳の延長)
コップ飲み=「飲み込む」動き(大人と同じ)
3. コップ飲みが「お口育て」に良い理由
コップ飲みで育つ「飲み込む力」は、口の中の舌の筋肉をしっかり使うことにつながります。舌をうまく使えるようになることは、これから先のさまざまな口の働きの土台になります。
- 食べる力 — 食べ物を舌でまとめ、のどへ送る動きにつながります。
- 正しい飲み込み方 — 舌を上あごにつけて飲み込む、大人と同じパターンを身につけやすくなります。
- これからの発音・お口まわりの発達 — 舌をしっかり使う経験は、口まわりの育ちを支えます。
当院では、「よく噛む・鼻で呼吸する・正しく飲み込む」といった口の働きを育てることを「お口育て」と呼んで大切にしています。コップ飲みは、その最初の一歩としてご家庭で取り組みやすい練習です。
4. コップ飲みの始め方・進め方
コップ飲みは、離乳食が始まって少しずつお座りが安定してきたころから、ゆっくり試していけます。うまくいかなくても焦らず、こぼれて当たり前という気持ちで進めましょう。
○ 進め方のステップ
- 少量から — 小さめのコップに飲み物をほんの少しだけ入れて始めます。
- ふちを下唇にそっと当てる — 口に流し込むのではなく、赤ちゃんが自分でひと口ずつ飲めるように。
- 傾けすぎない — 一気に入ってむせないよう、ゆっくり傾けます。
- こぼれてもOK — エプロンや下に敷物を用意して、安心して練習できる環境を。
最初はうまく飲めなくても、繰り返すうちに少しずつ上手になります。「練習」というより、毎日の食事のなかで自然に取り入れていくのがコツです。
5. ストロー飲みがダメというわけではありません
ここまでコップ飲みの大切さをお伝えしてきましたが、ストロー飲みが悪いというわけではありません。外出時やお出かけ先では、こぼれにくいストローマグがとても便利ですし、活用していただいて大丈夫です。
お伝えしたいのは、「ストローができないと焦らなくていい」「コップ飲みもぜひ取り入れてほしい」ということです。生活の場面に合わせて、ストローとコップを上手に使い分けていきましょう。とくに、口の発達やお口まわりが気になるお子さまには、コップ飲みを積極的に取り入れることをおすすめします。
6. 飲み込み方が気になるときは相談を
次のようなことが気になるときは、一度小児歯科でご相談ください。お口の使い方は、早めに気づいて練習を取り入れることで、無理なく整えていけることがあります。
- いつも口がぽかんと開いている(口呼吸が気になる)
- 食べ物や飲み物をうまく飲み込めず、よくこぼす・むせる
- 飲み込むときに舌が前に出る・下くちびるを噛むようなくせがある
- 歯並びやかみ合わせもあわせて見ておきたい
まとめ
ストロー飲みは「吸う」動きで、哺乳の延長にあります。一方、コップ飲みは「飲み込む」動きで、舌をしっかり使う大人と同じパターンを育てます。だからこそ、口の発達という視点ではストロー飲みを急がず、コップ飲みを大切に。これが、これからの「食べる・飲み込む・話す」を支える「お口育て」の第一歩です。
「コップ飲みがなかなか進まない」「飲み込み方が気になる」など、どんな小さなことでも、当院にお気軽にご相談ください。お子さまのお口の育ちを、ご家族と一緒に見守っていきます。
ご相談・ご予約
みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック
📍 〒658-0048 神戸市東灘区御影郡家1-34-9
📞 050-1784-4369(診療時間内のみ)
🚗 駐車場完備(阪急御影/JR住吉/阪神御影 各駅からアクセス可)
スマホからボタンをタップ → LINE 予約画面が開きます
関連記事
- 赤ちゃんの歯はいつから生える?生え始める順番・歯ぐずり・初めての歯磨きケア
- 舌小帯短縮症とは?程度の見分け方・歯並びへの影響・治療法ガイド
- 5歳児の歯の状態とは?生え変わり前のチェックポイントと虫歯予防のコツ
参考文献・参考資料
- 全国歯科衛生士教育協議会 監修『歯科衛生学シリーズ 小児歯科学』(医歯薬出版、2023年)
- 一般社団法人 日本小児歯科学会
- 公益社団法人 日本歯科医師会
- 厚生労働省「歯の健康」
執筆・監修:河崎 真也(かわさき まさや)
みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック 院長/医療法人茜会 理事長
専門:小児歯科/小児矯正/口腔機能育成
所属:日本歯科放射線学会 認定医、日本小児歯科学会
「明朗・愛和・喜働」を理念に、お子さまとご家族に寄り添った歯科医療を提供しています。
お子さまのお口のことで気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。




