【小児歯科医監修】5歳児の歯の状態とは?生え変わり前のチェックポイントと虫歯予防のコツ|みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック|御影
2017年09月21日
執筆・監修:河崎 真也(みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック 院長/日本歯科放射線学会 認定医・日本小児歯科学会 所属)
最終更新日:2026年4月27日 / 初回公開:2017年9月21日
本記事は、5歳児の歯の発達段階と健康維持のポイントを、小児歯科の現場知見をもとに保護者の方向けにまとめた内容です。
「うちの子、5歳になったのに、まだ歯がぐらつかない」「逆にもうグラグラしているけど大丈夫?」――5歳前後のお子さまをお持ちの保護者の方からよくいただくご相談です。
5歳は「乳歯がそろい、生え変わりの直前期」にあたる、お子さまの口腔発達にとってとても大切な時期です。生え変わりの早い遅いには個人差があり、必ずしも周りに合わせる必要はありません。この記事では、5歳児の歯の標準的な状態、ご家庭で見ておきたいチェックポイント、生え変わり期に向けた虫歯予防のコツまで、小児歯科医の立場からお伝えします。
神戸市東灘区御影の当院では、5〜6歳のお子さまの定期健診・生え変わり前の相談を毎週お受けしています。永久歯への切り替わり時期は、虫歯予防と歯並びのチェックをまとめて行える大切なタイミングです。
目次
1. 5歳児の歯の標準的な状態
5歳児の口の中は、原則として乳歯20本がすべて生え揃っている状態です。前歯(乳中切歯・乳側切歯)8本、犬歯4本、奥歯(第一乳臼歯・第二乳臼歯)8本の構成で、上下のアーチが完成しています。
永久歯への生え変わりは、一般的には6歳前後から始まるのが目安。最初に動き出すのは多くの場合、下の前歯(下顎乳中切歯)です。5歳の時点では、まだ目に見える大きな変化はないのが普通ですが、口の中では下顎の永久歯の芽(歯胚)が着々と育っています。
2. 早めにグラグラしてきたら?
5歳でも乳歯がグラグラし始める子は珍しくありません。生え変わり開始の標準時期(6歳)から前後2年程度の差は正常範囲と考えていただいて大丈夫です。早い子なら4歳後半から、遅い子なら7〜8歳から始まります。
○ ご家庭での対応
- 無理に抜こうとしない — 「お父さんが糸で結んで……」は昔の方法。歯ぐきを傷つけたり、歯根が残ったりするリスクがあります
- 自然に抜けるのを待つ — 永久歯が下から押し上げる力で、根が吸収されて自然に抜けます
- 食事のときの違和感をフォロー — ぐらつきが大きいときは、その歯側で硬い物を噛まないようご案内
- 抜けてから永久歯が生えるまでに時間差あり — 数週間〜数ヶ月かかるのは普通。焦らずに見守りを
3. 「歯と歯の隙間」が大切な理由
5歳前後になると、お子さまの前歯のあいだに隙間ができてくることに気づかれる保護者の方が多くいらっしゃいます。「歯がスカスカで心配」と思われがちですが、これはむしろ望ましいサインです。
永久歯は乳歯より一回り大きく、生え揃うには十分なスペースが必要です。乳歯のあいだに隙間(霊長空隙・れいちょうくうげき/発育空隙・はついくくうげき)ができることは、顎が順調に発達して永久歯のスペースを作っている証拠なのです。
○ 隙間がない場合は?
逆に乳歯がきれいに並んで隙間がない場合、永久歯が生えるスペースが足りず、歯並びが不揃いになる可能性があります。気になる場合は、5〜6歳ごろに一度小児矯正のご相談をおすすめします。早期発見すれば、顎の発達を促すアプローチで改善できる場合もあります。
4. 5歳児がなりやすい虫歯の場所
5歳児の口の中は、お子さま自身で歯磨きをし始める時期と重なるため、磨き残しによる虫歯リスクが急に上がります。とくに気をつけたい3つの場所があります。
○ 場所① 奥歯の咬み合わせの溝
第二乳臼歯(一番奥の乳歯)の咬み合わせには細かい溝があり、食べかすが溜まりやすい場所。お子さまの歯ブラシでは届きにくく、保護者の仕上げ磨きが必要です。
○ 場所② 歯と歯のあいだ(隣接面)
前述の「隙間」がある場合は通気性が良いのですが、奥歯のあいだは隙間が少なく虫歯になりやすい場所。ここはフロス(糸ようじ)の出番です。
○ 場所③ 歯と歯ぐきの境目
歯ブラシが斜めに当たらず、まっすぐ当てている子に多い磨き残し場所。仕上げ磨きの際に、歯ブラシを歯ぐきに対して45度に当てるのがコツです。
5. 5歳児の歯磨き:自分磨き+仕上げ磨き
5歳は「自分で歯を磨く」習慣を本格化させたい時期です。一方で、仕上げ磨きはまだ卒業させないことが、虫歯予防の決め手になります。
○ 自分磨きを促すコツ
- 「親の真似をしたい」気持ちを利用して、保護者と一緒に鏡の前で磨く
- 楽しい歯磨きアプリ・タイマーを活用(2分目安)
- 「上下・前後・上下・前後」のリズムを声に出して
○ 仕上げ磨きの目安
- 頻度:少なくとも1日1回(夜寝る前)
- 時間:奥歯まで含めて2〜3分
- 姿勢:膝枕の体勢で、お子さまの口の中がしっかり見えるように
- 歯磨き粉:フッ素配合(1000ppm目安)をグリーンピース大
○ フロスを取り入れたい時期
奥歯のあいだに虫歯ができやすいお子さまには、フロス(糸ようじ)の使用が有効です。子ども用のホルダー付きフロスなら、保護者の方が無理なく入れられます。歯ぐきを傷つけないよう、ゆっくりと挟んで動かすのがコツです。
6. 受診の目安:気をつけたいサイン
5歳前後のお子さまで、次のサインがあれば歯科医院でのチェックをおすすめします。
- 乳歯の前歯のあいだに隙間がまったくない — 永久歯のスペース不足の予兆
- 受け口(下の前歯が上より前に出ている) — 早期治療で改善できる場合あり
- 口呼吸が習慣化している — 顎の発達への影響、口腔機能のトレーニングが有効な場合
- 歯がぐらぐらしているのに半年以上抜けない — 永久歯側の問題の可能性
- 奥歯に黒い点や穴が見える — 虫歯の可能性
- 定期検診を半年以上していない — 5〜6歳の節目に一度総合チェックを
7. 永久歯デビューに向けて、今できること
5歳児の歯のケアは、これから一生使う永久歯への投資でもあります。乳歯の段階で虫歯ができてしまうと、その下の永久歯のエナメル質形成にも影響することがわかっています。
- 3〜4ヶ月ごとの定期検診 — 虫歯の早期発見+フッ素塗布+専門的な歯磨き指導
- シーラント(奥歯の溝の予防処置) — 第二乳臼歯と将来の6歳臼歯に有効
- 食習慣の見直し — だらだら食べ・甘い飲み物は虫歯の最大原因。決まった時間に食事を
- 「お口育て」の意識 — よく噛む・鼻で呼吸する・正しく飲み込む。これらが顎の発達と歯並びに直結
まとめ
5歳児の歯は「乳歯のフィナーレ・永久歯のプロローグ」の重要な過渡期です。周りと比較して焦るのではなく、お子さまのペースを見守りながら、虫歯予防と顎の発達を意識する。これが永久歯デビューに向けた最善の準備です。
この3つを継続いただくことで、永久歯への移行がスムーズになります。気になることがあれば、いつでも当院にご相談ください。
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参考文献・参考資料
- 一般社団法人 日本小児歯科学会
- 公益社団法人 日本歯科医師会
- 厚生労働省「歯の健康」
執筆・監修:河崎 真也(かわさき まさや)
みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック 院長/医療法人茜会 理事長
専門:小児歯科/小児矯正/口腔機能育成
所属:日本歯科放射線学会 認定医、日本小児歯科学会
「明朗・愛和・喜働」を理念に、お子さまとご家族に寄り添った歯科医療を提供しています。
お子さまのお口のことで気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。




