子どもが歯医者を嫌がるとき|段階的に慣れる5つのコツ|小児歯科医監修|みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック
2026年06月1日
日本歯科放射線学会 認定医/日本小児歯科学会 所属
神戸市東灘区御影で小児歯科・小児矯正・口腔機能育成を専門に診療
公開日 2026年5月7日/監修日 2026年5月7日
「歯医者と聞いただけで泣いてしまうんです」「治療台に座らせるのにいつも一苦労で…」――東灘区/御影の当院でも、お子さまの歯科受診で苦労されている保護者の方からのご相談を、毎週のように頂きます。
お子さまが歯医者を嫌がるのは、ごく自然な反応です。慣れない場所、知らない大人、口の中に器具が入る違和感――大人でも緊張する場面です。大切なのは「無理やり連れていく」のではなく、「歯医者は怖い場所ではない」という体験を少しずつ重ねること。本記事では、お子さまが歯医者を嫌がる背景にある4つの心理的要因、ご家庭でできる事前準備、当日の声かけのコツ、そしてみかげ小児歯科がふだんお話ししている「お口育て」の視点での慣らし方をまとめます。
📑 目次
なぜ子どもは歯医者を嫌がるのか(4つの心理的要因)
お子さまが歯医者を嫌がる背景には、年齢や個性によって異なるいくつかの心理的要因があります。教科書的にも、小児歯科診療における行動マネジメントは「お子さまの理解度・経験・性格を踏まえて段階的に進める」ことが望ましいとされています。
要因① 「初めての場所・知らない大人」への警戒心
3歳前後までのお子さまは、知らない大人やいつもと違う環境に対して強い警戒心を持つ「人見知り期」と呼ばれる時期があります。歯医者の建物・診療室・スタッフの白衣すべてが「いつもと違う」状況であり、本能的な不安反応として泣いたり後ずさりしたりします。
要因② 「口の中に何かを入れられる」感覚への抵抗
口腔内にミラーや器具が入るのは、お子さまにとって日常にない感覚です。特に嘔吐反射(おうとはんしゃ)が敏感なお子さまでは、歯ブラシでも嘔吐反応が出ることがあり、診療器具に対しても強い抵抗を示します。
要因③ 過去の「痛い体験」「怖い体験」の記憶
一度でも痛い思いをしたお子さまは、その記憶が強く残ります。例えば過去に虫歯治療で麻酔が痛かった、無理に押さえつけられた、といった体験は、その後の歯科受診への大きな心理的バリアになります。当院では、こうした「過去の記憶」をお持ちのお子さまには、まず「楽しい体験で上書きする」ことから始めます。
要因④ 保護者の方の不安が伝わる
意外と見落とされやすいのが、保護者の方ご自身の歯科に対する苦手意識がお子さまに伝わっている、というケースです。保護者の方が歯医者を「怖いところ」「痛いところ」と感じていると、その緊張感を敏感に察知して、お子さまも同じ反応をします。下記のセクションで、ご家庭での声かけのコツをご紹介しますが、保護者の方ご自身の表情・口調が、お子さまの安心感に大きく影響します。
ご家庭でできる「歯医者デビュー前」の準備
受診の数日前から、ご家庭でできる準備があります。お子さまが「歯医者は怖くない場所」というイメージを持てるよう、サポートしていただけると、当日のお子さまの緊張が大きく和らぎます。
準備① 絵本・YouTubeで「歯医者ごっこ」を体験する
「ノンタンはみがきはーみー」など歯医者をテーマにした絵本や、YouTubeの「はみがきあそび」動画を、受診前の数日間、寝る前の絵本タイムなどに見せてあげてください。お子さまの中で「歯医者=楽しい場所」のイメージが芽生えると、当日の警戒心が和らぎます。
準備② 「ピカピカにしてもらう日」と伝える
「歯医者に行こうね」よりも「お口をピカピカにしてもらう日」「歯のお勉強に行こうね」など、ポジティブな言葉に置き換えると、お子さまの心理的バリアが下がります。特に「治療」「注射」「削る」など不安を引き起こす言葉は、ご家庭でも使わないことをおすすめします。
準備③ 受診の前日・当日の朝はリラックスを優先
前日に「明日歯医者だよ、頑張ろうね」と何度も言われるのも、お子さまにとってはプレッシャーです。受診の話は当日の朝に簡潔に伝える程度で十分です。当日の朝は、いつも通りの食事・遊び時間を確保し、リラックスした状態で来院されることをおすすめします。
当日のお子さまへの声かけ5つのコツ
来院当日、診療室でお子さまが緊張・不安を見せたとき、保護者の方の声かけがお子さまの安心感を大きく左右します。当院のスタッフがふだん意識している声かけのコツを、保護者の方向けに整理しました。
コツ① 「怖くないよ」より「お話聞こうね」
「怖くないからね」と言われると、お子さまは「あれ、怖いことがあるのかな」と逆に不安になります。「お話聞こうね」「先生がやさしく見てくれるよ」など、起きること自体を肯定的に伝えると安心しやすくなります。
コツ② 「泣かないで」ではなく「頑張ってるね」
お子さまが泣いてしまったとき、「泣かないで」と否定すると、お子さまは「自分の気持ちを否定された」と感じます。「頑張ってるね」「ちゃんと座れてえらいね」と、できていることを認める言葉に変えてあげてください。
コツ③ 治療終了後の「ごほうび」の上手な使い方
治療後に「頑張ったね、今日はおやつ食べていいよ」とご褒美をあげる場合、おやつより「シールが貯まったらシールブックがもらえる」「絵本が借りられる」など、虫歯リスクを高めない選択肢がおすすめです。当院では、頑張ったお子さまにスタッフから記念のシールやガチャをご用意しています。
コツ④ 「次は◯◯ね」と見通しを伝える
小児歯科では「Tell-Show-Do(テル・ショー・ドゥ:話して・見せて・やる)」という行動マネジメントの手順を大切にしています。「次はお口の中をライトで見るよ」「次はピカピカする道具を入れるよ」と、これから何が起きるかを順番に伝えることで、お子さまの予測可能性が高まり、不安が和らぎます。
コツ⑤ 保護者の方も笑顔で
お子さまは保護者の方の表情をよく見ています。診療台の横で険しい顔をしていると、お子さまも緊張します。難しいかもしれませんが、保護者の方ご自身もリラックスして、お子さまに笑顔で「大丈夫だよ」と伝える姿勢が、お子さまの安心につながります。
「無理やり」は逆効果。段階的に慣れる進め方
過去に押さえつけられて治療された経験があるお子さまは、その記憶が強く残り、その後の歯科受診への大きなトラウマになります。当院では、「今すぐの治療」よりも「長期的に通える関係づくり」を優先する方針です。
ステップ1 まずは医院を見学する
「診療なし」で医院に来てみる、待合室で絵本を読んでスタッフと挨拶する、診療室を見学するだけで終了――こうした「医院に慣れる体験」を1〜2回繰り返すお子さまもいらっしゃいます。「歯医者に来た=怖いことはなかった」というポジティブな記憶を作ることが第一段階です。
ステップ2 診療台に座る練習
次に、診療台に座って椅子を上下させる、エプロンをつけてみる、ライトを当ててもらう、といった「診療室の体験」を増やしていきます。お子さまが嫌がらない範囲で、少しずつステップアップします。
ステップ3 ミラーを使って口の中を見る
ミラーを口の中に入れて、お口の中を観察します。最初は前歯だけ、次は奥歯まで、というふうに少しずつ範囲を広げます。慣れてきたら、簡単な歯磨き(クリーニング)に進みます。
ステップ4 治療が必要な場合の進め方
虫歯治療など実際の処置が必要な場合も、上記のステップを経てお子さまが歯科受診に慣れた状態で進めます。緊急性の高い痛みや感染がない限りは、慣らしの段階を優先するのが当院の方針です。「今日は治療できなかったけれど、お子さまが頑張れるところまで進めた」――これは決して失敗ではなく、立派な進歩です。
嫌がるお子さま向けの当院の工夫
みかげ小児歯科・矯正歯科クリニックでは、お子さまが安心して通える医院づくりに、いくつかの工夫を取り入れています。
スタッフの声かけと関わり方
院長・スタッフ全員で、お子さまにわかりやすい言葉(ジュニアトーク)で声かけする訓練を継続的に行っています。「お薬の眠りこぶさん(麻酔)」「シュワシュワ風(エアー)」など、子ども向けの優しい表現を統一して使うことで、お子さまの恐怖心を和らげます。
診療室の環境
診療室の天井にはお子さまが楽しめる飾りがあり、診療台に座っても見上げる景色がやさしくなるよう配慮しています。また、待合室には絵本やキッズスペースがあり、来院から診療室に入るまでの「移行時間」を楽しく過ごせるようにしています。
「頑張ったね」のシール・ガチャ制度
診療を頑張ったお子さまには、頑張りシールやガチャをお渡ししています。「次もシール集めに来る」というモチベーションが、定期通院の継続にもつながります。長期的に医院に通えるお子さまほど、虫歯予防の効果も高くなります。
みかげ小児歯科でのご対応と「お口育て」の視点
神戸市東灘区御影のみかげ小児歯科・矯正歯科クリニックでは、「お子さまが歯医者を嫌がる」というご相談に対して、医院全体で長期的な関係づくりの視点で対応しています。日本小児歯科学会 所属の院長・河崎 真也が、お子さまとご家族に寄り添ったご案内を心がけています。
「お口育て」と歯科受診の関係
当院がふだんお話ししている「お口育て」とは、歯並びだけでなく、噛む力・舌の使い方・呼吸・姿勢を含めた口腔機能の発達を、乳幼児期から学童期にかけて整えていく考え方です。お口育ては医院での診療だけでなく、ご家庭での日常習慣で育つものです。だからこそ、お子さまが「医院に通うのが楽しみ」と感じる関係づくりが大切で、それが長期的な口腔機能の発達と歯並びの整いにつながります。
当院では、初回が泣いて終わってしまっても、それは決して失敗ではないと考えています。1回目より2回目、2回目より3回目と少しずつ進歩していくお子さまの姿を、ご家族と一緒に見守っていきます。
「歯医者は楽しい場所」を作る初診相談
「うちの子は本当に歯医者が苦手で…」とご心配の保護者の方は、ぜひ初診相談からお気軽にご来院ください。お子さまのご様子を拝見しながら、ご家族と一緒に進め方をご相談します。LINE・お電話でのご予約もお受けしています。
よくあるご質問
Q1. 何歳ぐらいから歯医者に通えるようになりますか?
A. お子さまの個性によりますが、一般的には3〜4歳ごろから「治療台に座る」ことができるようになる方が多いです。それ以前でも、医院見学や保護者の膝に座っての診察などからスタートできます。「うちの子はまだ早いかな」と迷われたら、まずは見学を兼ねてご来院ください。
Q2. 過去に怖い思いをしたみたいで、トラウマがあります
A. 当院でも、他院でつらい体験をされてきたお子さまをお迎えすることがよくあります。最初の数回は「医院に来て、何もしないで帰る」体験を重ねるところからスタートし、お子さまのペースで少しずつ慣れていただきます。焦らず、一緒に進めていきましょう。
Q3. 兄弟で性格が違って、上の子は問題ないのに下の子が嫌がります
A. ご兄弟でも個性は大きく異なります。お子さまそれぞれのペースで進めていきましょう。上のお子さまの診療を見ながら下のお子さまが「自分もやってみたい」と感じる、というケースもよくあります。ご兄弟同時のご予約も柔軟に承ります。
Q4. 当日、医院で泣き叫んでしまっても大丈夫でしょうか?
A. もちろん大丈夫です。当院では泣くお子さまも歓迎しています。「初日は何もできなかった」のは決して失敗ではなく、医院に来た時間そのものがお子さまにとっての貴重な経験です。スタッフも慣れていますので、安心してご来院ください。
📌 「無理せず・少しずつ・長期的に」が当院の方針です
お子さまのペースに合わせた歯科デビューを、
東灘区/御影で院長・スタッフ一同サポートしています。
🦷 みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック
📍 〒658-0048 神戸市東灘区御影郡家1-34-9
📞 050-1784-4369(代表)
🚉 阪神御影駅徒歩7分/阪急御影駅徒歩9分/JR住吉駅徒歩12分
院長 河崎 真也(日本歯科放射線学会 認定医・日本小児歯科学会 所属)
📚 参考文献
- 日本小児歯科学会(行動マネジメント・Tell-Show-Do)
- 日本歯科麻酔学会(小児への配慮)
- 厚生労働省 学齢期の歯科保健
- 小児歯科臨床アトラス(医歯薬出版)
河崎 真也(かわさき まさや)
みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック 院長/医療法人茜会 理事長
日本歯科放射線学会 認定医/日本小児歯科学会 所属
神戸市東灘区御影で、小児歯科・小児矯正・口腔機能育成(お口育て)を専門に診療。お子さまが歯医者を嫌がるご相談には、医院全体で「無理せず・少しずつ・長期的に」関係を築いていく方針で対応しています。




