子どもの歯が折れた・抜けた!すぐに「牛乳」に浸けてください【小児歯科医監修】|みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック|御影
2018年08月30日
執筆・監修:河崎 真也(みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック 院長/日本歯科放射線学会 認定医・日本小児歯科学会 所属)
最終更新日:2026年4月27日 / 初回公開:2018年8月30日
本記事は、お子さまの歯のケガ(外傷歯)に関する小児歯科の知見をもとに、ご家族向けにわかりやすくまとめた内容です。
お子さまが転倒したり、スポーツ中の事故やお友達との接触で歯をぶつけてしまった――。そんなとき「抜けた歯はもう戻らないの?」「すぐ病院に行ったほうがいい?」と慌ててしまう保護者の方は多いのではないでしょうか。
結論からお伝えします。抜けた歯・折れた歯は、適切な応急処置をすれば元に戻せる可能性があります。カギは「最初の30分間で何をするか」。この記事では、ご家庭ですぐにできる正しい対応と、絶対にやってはいけない行動を、小児歯科の現場から具体的にお伝えします。
神戸市東灘区御影の当院でも、お子さまの外傷のご相談をお受けしています。緊急時はまず落ち着いて、本記事の応急処置をご家庭で実践したうえで、最寄りの歯科医院または当院へご連絡ください。
目次
1. 結論:抜けた歯・折れた歯は「牛乳」に浸けてください
応急処置の手順は、シンプルに次の3ステップです。
- 落ち着いて、抜けた歯(または折れた歯のかけら)を拾う — 触るのは歯の上部(白い部分)のみ。根の部分には触れない
- 「牛乳」に浸す — 冷蔵庫の牛乳でOK。水で洗わない
- できるだけ早く(30分以内が目安)歯科医院へ受診 — 牛乳ごと容器に入れて持参
この3ステップを守るだけで、再植(歯を元に戻す処置)の成功率が大きく変わります。逆に、よかれと思ってやった行動が、かえって歯を「戻せない状態」にしてしまうことも珍しくありません。
2. なぜ水ではなく牛乳なのか — 浸透圧と「歯根膜」のはなし
「歯を清潔に」と思って、つい水道水で洗いたくなる気持ちはよくわかります。しかし、これは厳禁です。
歯の根の表面には、「歯根膜(しこんまく)」という非常に薄い組織がついています。この歯根膜が生きていれば、歯を元の位置に戻して定着させることが可能なのですが、歯根膜は「浸透圧」の変化に極めて弱いという性質があります。
- 水道水:浸透圧が低すぎる → 歯根膜の細胞が膨張して破壊される
- 牛乳:浸透圧が体液に近い → 歯根膜を保護したまま保存できる
つまり、牛乳は「歯根膜を生きたまま保つための一時保存液」として、家庭で最も現実的かつ効果的な選択肢なのです。
3. 学校・幼稚園での緊急時:歯牙保存液という選択肢
学校・幼稚園・スポーツクラブなどには、「歯牙保存液(しがほぞんえき)」という専用の保存液が常備されていることがあります。これは医療用に開発された等張液で、最長で24時間程度の保存が可能とされています。
もしお子さまの通う学校や保育園に常備されている場合は、それを使うのが理想です。ただし、ご家庭に常備しているケースはほとんどありません。家庭での緊急時は、迷わず牛乳でOKです。
近年は、運動会・スポーツの試合・遠足など、お子さまが屋外で活動する機会の前に、保護者の方が冷蔵庫に牛乳があるかさっと確認しておくだけでも、いざというときの安心につながります。
4. 絶対にやってはいけない3つのNG行動
歯のケガの応急処置で、よかれと思って行われがちなNG行動を整理しておきます。
❌ NG①:歯を水で洗う
前述の通り、水道水の浸透圧では歯根膜が短時間で破壊されてしまいます。土がついていても、ゴシゴシ洗わず、牛乳に浸すだけにしてください。
❌ NG②:ティッシュやハンカチで包んで持参する
乾燥は歯根膜にとって致命的です。ティッシュに包んで運ぶと、わずか数分で歯根膜の細胞が死んでしまいます。必ず液体(牛乳・歯牙保存液)に浸して持参してください。
❌ NG③:自己判断で消毒液をかける/折れた部位を指や舌で触る
消毒液は歯根膜を傷め、指や舌で触ると細菌感染の原因になります。受診まで触らないのが基本です。
なお、お子さまが痛みを訴えている場合は、市販の小児用解熱鎮痛剤(年齢・体重に合った用量)を服用させても問題ありません。
5. 歯科医院での治療の流れ
受診後、症状によって以下のような治療が行われます。
- 抜けた歯がある場合 — 歯根膜が生きていれば、抜けた歯を元の位置に戻し、隣の歯と固定する「再植処置」を行います
- 歯が折れて歯髄(神経・血管)が露出している場合 — 細菌感染を防ぐため、根管治療(歯髄の処置)を行います
- 歯がぐらぐらしている場合 — 経過観察または固定処置で、歯が落ち着くのを待ちます
処置後は、定期的にレントゲン検査で経過を観察します。再植した歯が定着するかどうかは、最初の応急処置と受診までの時間に大きく左右されます。
6. 乳歯と永久歯で対応は違う?
専門的には、乳歯と永久歯で対応方針が異なります。
- 永久歯 — 再植を最優先。元の歯を残すための処置を積極的に行います
- 乳歯 — 後続の永久歯(乳歯の下で待っている永久歯の芽)への影響を考慮し、再植しない選択を取ることもあります
とはいえ、保護者の方が「これは乳歯だから受診しなくてもいいか」と判断するのは危険です。乳歯の根の損傷が、後から生えてくる永久歯の形や位置に影響することもあるため、乳歯・永久歯にかかわらず、歯のケガはすべて歯科医院での確認が必要とお考えください。
7. そもそもケガを防ぐためにできること
歯のケガを完全に避けることはできませんが、リスクを下げる工夫はあります。
- スポーツ時のマウスガード — 接触のあるスポーツ(サッカー・バスケ・武道など)では、マウスガードの使用が外傷を大きく減らします
- 歯並びの確認 — 上の前歯が前に突出している(出っ歯)お子さまは、転倒時に歯を打つリスクが高いことが知られています。気になる方は小児矯正の相談を検討されてみてください
- 定期検診 — ふだんから歯科医院に通っていると、いざというときの連絡もスムーズです
8. 緊急時のご相談先
当院は神戸市東灘区御影で、小児歯科・矯正歯科を専門に診療しています。お子さまの歯のケガでご心配なことがありましたら、診療時間内にお電話でご相談ください。
みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック
📍 〒658-0048 神戸市東灘区御影郡家1-34-9
📞 050-1784-4369(診療時間内のみ)
🚗 駐車場完備(阪急御影/JR住吉/阪神御影 各駅からアクセス可)
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診療時間外の緊急時は、お住まいの地域の休日・夜間歯科診療所をご利用ください。神戸市内の場合、神戸市歯科医師会の休日歯科診療所が運営されています。
まとめ
お子さまの歯のケガは、保護者の方にとって心が動転する出来事です。しかし、覚えておいていただきたいのはたった一つ。
この一行を、ぜひ冷蔵庫に貼っておいてください。万一のときに、お子さまの大切な歯を守る助けになります。
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参考文献・参考資料
- 一般社団法人 日本小児歯科学会
- 一般社団法人 日本外傷歯学会「歯の外傷治療ガイドライン」
- 公益社団法人 日本歯科医師会
執筆・監修:河崎 真也(かわさき まさや)
みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック 院長/医療法人茜会 理事長
専門:小児歯科/小児矯正/口腔機能育成
所属:日本歯科放射線学会 認定医、日本小児歯科学会
「明朗・愛和・喜働」を理念に、お子さまとご家族に寄り添った歯科医療を提供しています。




