【小児歯科医監修】むし歯になりにくいお口の環境づくり|唾液・再石灰化・食べ方のしくみ|みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック|御影
2017年09月14日
執筆・監修:河崎 真也(みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック 院長/日本歯科放射線学会 認定医・日本小児歯科学会 所属)
最終更新日:2026年7月4日 / 初回公開:2017年
本記事は、むし歯になりにくいお口の環境づくりについて、唾液のはたらき・脱灰と再石灰化のしくみ・食べ方の工夫を、神戸市東灘区御影の小児歯科の現場知見をもとに保護者の方向けにまとめた内容です。
「同じように歯みがきをしていても、むし歯になりやすい子となりにくい子がいるのはなぜ?」――東灘区/御影の当院でも、保護者の方からこうしたご質問をいただきます。むし歯のなりやすさには、歯みがきだけでなく、お口の中の環境が関わっていると考えられています。
この記事では、唾液のはたらき、歯が溶ける「脱灰」と歯が修復される「再石灰化」のしくみ、そして食べ方の工夫まで、むし歯になりにくいお口の環境づくりの視点で、小児歯科医の立場でわかりやすくお伝えします。むし歯になる理由そのものは別記事「子どもが虫歯になる理由|「感染の窓」と生活習慣・ご家庭でできる予防」でご紹介しています。神戸市東灘区御影のみかげ小児歯科・矯正歯科クリニックが、お子さまのお口の健康を「お口育て」の視点でご案内します。
目次
むし歯のなりやすさは「お口の環境」で変わる
むし歯のなりやすさは、体質だけで決まるものではなく、日々の生活習慣やお口の環境が大きく関わっていると考えられています。裏を返せば、いまの習慣を少し見直すことで、むし歯になりにくいお口の環境に近づけていける、ということでもあります。ここでは、そのカギになる「唾液」「脱灰と再石灰化」「食べ方」を順に見ていきます。
脱灰と再石灰化のバランス
食べたり飲んだりすると、お口の中の細菌が糖を分解して酸をつくり、お口の中が酸性に傾きます。すると、歯の表面からカルシウムやリンが少し溶け出します。これを「脱灰(だっかい)」といいます。
その後、唾液が酸を中和し、溶け出したミネラルを歯に戻していきます。これを「再石灰化(さいせっかいか)」といいます。お口の中では、この脱灰と再石灰化がくり返されています。脱灰の時間が長く続くと、再石灰化が追いつかず、むし歯につながりやすくなると考えられています。つまり、「酸性に傾く時間をできるだけ短くする」ことが、環境づくりのポイントです。
唾液のはたらきと増やす工夫
唾液には、酸を中和してお口の中を中性に戻すはたらきや、汚れを洗い流すはたらき、再石灰化を助けるはたらきがあると考えられています。唾液がしっかり出ていることは、むし歯になりにくい環境づくりの土台になります。唾液を出しやすくする工夫には、次のようなものがあります。
- よく噛んで食べる — 噛む回数が増えると唾液が出やすくなります。あごの発達にもつながる、お口育ての視点でも大切な習慣です。
- 水分をこまめにとる — お口の乾燥を防ぐことも、環境を整えるうえで役立ちます。
- 鼻で呼吸する習慣 — 口呼吸が続くとお口が乾きやすくなります。鼻呼吸を意識することも一助になります。
よく噛むこととお口の発達については、別記事「子どもの顎(あご)の発達|よく噛むことの大切さと歯並びへの影響」もご覧ください。
だらだら食べを避ける食べ方
少しずつ何度も食べたり飲んだりする「だらだら食べ」は、お口の中が酸性に傾く時間を長くしてしまいます。再石灰化のための時間が確保されにくくなるため、むし歯になりやすい環境になりがちです。おやつや飲みものは時間を決めて、食べたあとはお口を休ませることが大切です。甘い飲みもので水分補給をくり返す習慣にも注意しましょう。おやつの取り方については、別記事「子どものおやつとむし歯|だらだら食べを防ぐ食べ方と選び方」もご参照ください。
環境づくりを支える歯みがきとフッ素
お口の環境を整えるうえでも、汚れ(歯垢)を減らす歯みがきは基本です。とくに小さいうちは、保護者の方による仕上げみがきが大切です。あわせて、フッ素は再石灰化を助け、歯質を整えるうえで役立つと考えられています。ご家庭でのフッ素配合歯みがき剤と、歯科でのフッ素塗布を組み合わせることで、環境づくりを支えられます。フッ素については、別記事「子どものフッ素はなぜ虫歯予防に効くの?使い方と歯科での塗布」もご覧ください。
よくあるご質問
Q1. 歯みがきをしているのにむし歯になりやすいのはなぜですか?
A. 歯みがきだけでなく、食べ方や唾液のはたらきなど、お口全体の環境が関わっていると考えられています。だらだら食べを避け、よく噛む習慣を取り入れることで、環境が整いやすくなります。
Q2. 食後すぐに歯みがきをしたほうがよいですか?
A. 食後は早めにみがくことがすすめられることが多いですが、みがくタイミングには考え方がいくつかあります。ご家庭のリズムに合わせて、みがき残しを減らすことをまず大切にしましょう。迷うときは歯科でご相談ください。
Q3. 唾液を増やすために家庭でできることはありますか?
A. よく噛んで食べること、水分をこまめにとること、鼻で呼吸する習慣を意識することが一助になると考えられています。お子さまの様子で気になることがあれば、歯科でご相談ください。
📌 「酸性に傾く時間を短く」が環境づくりのカギです
唾液・食べ方・歯みがき・フッ素を組み合わせて、むし歯になりにくいお口を育てましょう。
気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
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参考文献・参考資料
- 全国歯科衛生士教育協議会 監修『歯科衛生学シリーズ 小児歯科学』(医歯薬出版、2023年)
- 一般社団法人 日本小児歯科学会
- 厚生労働省「歯の健康」
執筆・監修:河崎 真也(かわさき まさや)
みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック 院長/医療法人茜会 理事長
専門:小児歯科/小児矯正/口腔機能育成
所属:日本歯科放射線学会 認定医、日本小児歯科学会
神戸市東灘区御影で、むし歯予防やお口の機能(お口育て)の視点から、お子さまの成長を見守る歯科医療を行っています。「明朗・愛和・喜働」を理念に、ご家族に寄り添った診療を心がけています。




